ネノクニスタジオ

Nenokuni Studio

2017/12/21 - ドット絵でゲームつくる話Lv0

Category: ゲーム制作, ドット, プログラミング

この記事はドット絵ADVENTカレンダー22日目の記事です。

6000文字ほどあるのでめんどくさい方は5あたりから読みましょう。

目次

  1. ご挨拶
  2. この記事について
  3. エンジンやライブラリ
  4. オススメのゲームエンジンは?
  5. どうしたらゲーム制作が捗るのか
  6. 終わりに

1.ご挨拶

こんにちは、ヒガタです。
2017年ももう虫の息になっている今日この頃ですが、面白そうなADVENTカレンダーがあったので寄稿するために柄でもなく記事を書いてみることにしました。

2.この記事について

今回のテーマはタイトル通り、「ドット絵でゲームを作る話」ですがあまり実際の技術寄りな話はしません。
もちろんLv0なのでバグスターを患者から切除することを目的としており、ゲームを作り始める前の段階の話しかしません。
どのエンジンがドット絵という表現ジャンルに向いてそうなのかといったところを独断と偏見で紹介します。
繰り返しますが独断と偏見を多く含みます。
また特定エンジンに対する攻撃とかをしているつもりはまったくありません、もしそのように読めてしまった場合は三日くらい熱海に温泉旅行へいって心の洗濯をしてきてください。

3.エンジンやライブラリ

ざっくりと各エンジンやライブラリ、ツールについてドット絵に向いてそうか否かを中心に解説します。

RPGツクール

皆様ご存知RPG制作ツールの筆頭、2000~MVまで幅広い選択肢を取れます。
ノンプログラマでも真っ当なRPGが作れるし、ちょっとがんばるとARPGとかもいけます。
ドット絵との親和性は高いですが、MVにおいてはピクチャ原点を中心に設定すると画像がぼけたりするようなので注意。
バージョンが上がるごとに解像度も上がっていっているのでドッター的には体力を使うかもしれない。
みんなでエターナルの海(最近は平原になった)に沈もう!

Smile Game Builder

最近出てきた3DRPG製作ツール。一見ドット絵じゃねーじゃねーか!といわれそうですが、キャラチップを2D画像に差し替えたりもできます。
ローポリ+ドット絵テクスチャを使用すればPS時代のRPGのような絵面が再現できそう。
最近はUnity対応をしているため、モバイルでもゲームをロンチできるようになったみたいです。
ボクセルモデルなんかも簡単にインポートできるようなのでボクセルアーティストにもおすすめ。
まだ利用者数がすくなさそうだからリリースすれば簡単に公式からRTしてもらえるぞ!急げ!

SRPG Studio

FE風のSRPGが作成できる製作ツール。
サンプル画像的にはGBAのFEが解像度としては近そうですが、1コマ自体の画像サイズは結構大きく取れるようなので自由な絵作りができるみたいです。
RPGツクールなどと同じく命令をGUIでぽちぽち入力していく方式で、シンプルなゲームなら簡単に作れそう。
プログラムが出来る人的にはプラグインをJavaScriptで作成できるようなのでゆっくり沼に沈んでいくことも可能みたいです。

WOLF RPG Editor

無料でRPGを作りたいならこれ。って感じの定番選択肢、通称ウディタ。
こちらも命令をGUIで入力していくことでイベントを作ったりする方式。
やたらめったらイベントコマンドの自由度が高いので、プログラムレスでヤバいものを作り上げることも可能。
ドット絵的な親和性は概ね高いです。ドット絵をインポートして、普通にピクチャでぼけずに表示できる。とても重要。
フリーだからとりあえずちょっとRPGを作るってのを試してみたいときにやってみると良いかもしれない。

アクションエディター

最新版はアクションエディター4。その名の通りアクションゲーム制作に特化した製作ツール。
プログラム不要で手軽にアクションゲームが作れるようです。
ドット絵的には、画像規格が画像のパレット自体を縛るタイプなのでやや面倒かも。画像全体で230色弱が使用可能なようです。
ただしフルカラー画像にはその制限が無い模様。よくわかんにゃい。ふしぎ。
こちらもフリーなのでついうっかりダウンロードしてはじめられるから良いかも。

シューティングゲームビルダー

STGを製作できるツール。S.T.G CREATORは3D向けのようなのでとりあえずこちらを紹介。
GUIからイベント命令文を入力することでSTGを製作できます。
画像に関する縛りはそれほどなさそうなのでドット絵を使用するのは特に問題なさそう。

Game Maker : Studio2

マルチプラットフォーム対応のゲームエンジン。スプライトエディタも内蔵してる。
たしかUndertaleで使用されていたエンジンがこれ。
ビュジュアルベースプログラミング(命令ブロックを繋げて処理を作る)でゲームを作れる。
チュートリアルは豊富だけど英語がある程度読める前提、たまにセールやってるのでそのときに買おう。
前は無印のGame Maker :StudioがSteamにあったんだけど現在は行方不明なので2を紹介しました。

SRC(Simulation RPG Construction)

スパロボっぽい感じのSRPGが作れる製作ツール兼エンジン。ぼくの古巣。
専用スクリプト言語を書く必要はあるけど、最低限の動作でかまわないなら覚えることはそう多くない。
プログラミングの入門の入門としてもまあ悪くは無いかも。
画像フォーマットに関する制約はそんなにないけど、まずアルファ値とか加算合成とかそのあたりが使えないので機能的にはちょっと弱い。
オリキャラでスパロボやりてーって人におすすめ。
いろいろパワーアップしてスクリプトエンジン寄りになった後継機(予定)もあるよ。絶賛更新停止中。

Clickteam Fusion 2.5

正式名称は”インディゲームクリエイター Clickteam Fusion 2.5″、ながい。
ノンプログラミングでゲームが作れる!がウリの製作ツール。マルチプラットフォーム対応。
ノンプログラミングとは言うもののチュートリアルのサンプル書式とかを見てると迂遠なプログラミングなのでは…と思わなくもない。
物理エンジンがついてるので、アクションゲームが作りやすい…のかな。
画像に関する制約はほぼ無し、とりあえず気になったら無料版で試してみるといいのかも。

Hot Soup Processor

通称HSP、ゲームを作るツールというよりもほぼプログラミング言語。
とても長い歴史を持つツールであるため、参考書籍その他文献が山のようにある。
最近だと「箱庭えくすぷろーら」というすばらしいゲームがリリースされてたのでドッター諸兄はぜひプレイしよう。
ドット絵に向いてるかどうかという話で言うと、特に問題はなし。
この項以降はプログラミングがほぼ必須なツール/言語となります。

Unity

泣く子も黙るマルチプラットフォームゲームエンジン、猫も杓子もUnity。
ざっくりとした概要レベルの話は割愛。
ドット絵に向いているかどうかで言うと、非常に微妙。
あまりドット絵フレンドリーな仕様ではなく(というかそもそもpxという単位を使わない)、
画像のインポート時に設定を忘れるとガンガン画像がボケてくれるけど、対策すればちゃんとドット絵ゲームも作れる。
もちろんだけどプログラミングはほぼ必須。なくても作れるけど…うん。
手が暇なドッター諸兄はAssetStoreで素材を販売するとお小遣い稼ぎになるかも。
ユニティちゃんの2DACT用スプライトがかわいい。

Unreal Engine4

通称UE4。こちらもマルチプラットフォームなゲームエンジン。Unityと比べると映像表現が強いのかな?
ドット絵に向いてるかでいうと、そもそも2DをUE4で作るのが間違いらしいです。残念。
反面3Dゲームを作るのには非常に向いているのでボクセルモデルでゲームを作りたいならこっちを選択するのもあり。
ビュジュアルベースプログラミングが利用できるらしいので、プログラムできない人でもある程度いけそう。(多分)

Defold

「キャンディークラッシュ」の制作会社が開発した2D向けゲームエンジン。
多分想定はモバイル向けゲームなのかな。正直この記事書いててはじめて知った。
日本語の参考文献を見た限り、見た目はとっつきやすそう。
言語はLuaなのでノベルゲーツールとかでLuaやってたわって人はこれやるのもありなのかも。
リファレンスその他参考文献は当然のごとく英語なのでがんばって読もう。
Defoldを利用したプロジェクトの中にピクセルアート的なコンセプトアートが載ってるやつもあったので相性は悪くないのかも。
(ただしそのプロジェクトサイトは執筆時点で404でした、残念)

Cocos2d-x

マルチプラットフォームなゲームエンジン。僕はこいつエンジンじゃなくてライブラリなんじゃないかと前から思ってる。
その名前のとおり2Dゲームに特化した機能を持つゲームエンジン。
最近はUnityライクな製作ツールなんかも用意しようとしているらしいけど、基本的にはC++とかでゴリゴリプログラムする必要があります。
プログラムが書けるぜ!C++なんて怖くねえ、ぶっ殺してやる!的な人にはおすすめ。
Win/Mac両方で簡単に動かせるのでPC環境がばらばらな人なんかもおすすめ。(まあUnityとかもそうなんだけど)
ぼくも使っているのでなんかあったら聞いてくれていいよ。
あと多分Cocos2d-xでPC向けエロゲー出したのは僕だけだからみんな買ってね。

PixiJS

RPGツクールMVの中身ことPixiJS。その名前の通りJavascriptで動くブラウザゲーム用のゲームエンジンです。
とにかくブラウザだけで実行できるのが強み。
中身的には、WebGLによる画像描画、パーティクル機能、アニメーション機能(のベース)あたり。
こいつもゲームエンジンというよりもライブラリに近い気がする。エンジンとライブラリの境界ってなんなのか…語感、かな…
プログラムがわかってて、かつリリース対象はブラウザだけでいいよって人向け。
ドット絵に向いているかどうかはまあ、RPGツクールMVを見てみると問題ないことがわかるので割愛。
わかりづらいことはないけど、ブラウザゲーム特有のルールなんかがある(リソース周りとか)ので、そのあたりは各自勉強してください。ぼくはわかんにゃい。

DXライブラリ

DXライブラリ。DirectX描画をサポートするライブラリです。
PixiJSがゲームエンジンならこいつもゲームエンジンな気がするけど、これはライブラリです。いいね?
とりあえずWindows向けでゲームプログラミングがしたいならこれをチョイスしておけば一切問題は無い。
C++はいやだ?C#向けのDLLがあるからそれを使うんじゃ。最高だぞ。
ドット絵との相性はまったく問題ない。画像のパレット変更とがごちゃごちゃ色々できます。
良くも悪くもレガシーなライブラリだけど、とても安心感と温かみを感じる系のやつ。

LOVE2D

2Dゲーム作成に特化したフレームワーク。エンジンでもライブラリでもない、フレームワーク。
名前の通り2Dゲームに特化している。言語的にはLuaスクリプトを使用している。
便利なライブラリが多数揃っており、導入すればよくある機能を簡単に実現できる。
いちいち車輪の再発明をしないで済むのはとても良い。
海外製のフレームワークだが日本語の文献はわりと充実している。公式Wikiと足りないなら多少本家Wikiを読む程度か。
また、対応しているビジュアルエディタも色々あるようなので作業環境はけっこういい感じに構築できるかも。
最小でメモ帳があればOKなのも魅力的でもある。

といった感じで、2Dに向いてそうな(一部まったく向いてないのもあったけど)ゲームエンジンなどの紹介でした。

4.オススメのゲームエンジンは?

正直どのエンジンを選んでも完成するひとは完成するから…って言ったら書いてる意味が無いので、2パターンで大まかに分類しました。

パターンA:フリゲー/同人ゲーム系

無料ツールから手を出したほうがいいかな、といった程度でとれる選択肢は無限。
作りたいジャンルがあるならそのエンジンを試してみて、それで実現できなければプログラミングに手をだすといった感じか。
あまりにレガシーすぎる環境だとプレイヤーの環境で動かなかったりするので注意する程度。

パターンB:スマホ向けゲーム系

・Unity
・Cocos2d-x
・UE4 ※ただし2Dには向かない
・PixiJS
・Defold
・RPGツクールMV
・Smile Game Builder
Game Maker : Studio2はモバイルビルドするために結構金がかかるので選外となりました。
RPGならツクール、それ以外ならUnity、C++書けるならCocos2d-x、ブラウザ向けならPixiJSといったところ。
Smile Game BuilderはモバイルビルドでUnityを使用するのでまあほぼUnityとセットです。

なんかほぼオススメになってないですね…いや、エンジンごとに一長一短があるんですよ。そうなの。
次に初学者向けという観点からオススメを絞りますと

パターンA:とりあえずゲーム作りをしたい(イージー)

・RPGツクール系
・WOLF RPG Editor
・シューティングゲームビルダー
・アクションビルダー
一押しはWOLF RPG Editor。なんといっても無料だからね、いつでもエターナルできます。
「ゲーム作りってなにやるの?」みたいなところからやりはじめたい人向け。

パターンB:ゲームプログラミングをやってみたい

・DXライブラリ
・Hot Soup Processor
・LOVE2D
プログラミングはあんまりやったことはないけど、チャレンジしたい!という命知らず向け。
ゲームプログラミングの基礎からやりたい!という方向けなのでゲームループから構築していくタイプのやつをチョイスしてます。
初っ端からC++やらせるのかよとかそういう意見は聞きませんぞ。C#版でもいいのよDXライブラリ。
あとLOVE2D。今回はLOVE2Dをひたすらオススメするために記事を書こうと思ってたんですが、考えてたのと違うものが出来上がってきました。
ビルドが不要でメモ帳だけでもゲームが作れるLOVE2D、みんなもやろう。
棒助氏のチュートリアルもあるぞ!

パターンC:細かいことはどうでもいいからかっこいいやつ作りてーんだよ

・Unity
そんなに死にたいならさあこの和尚本を手にとって沼に沈め、という方向け。
細かい説明はあんまりいらないけど、とにかくガンガンそれっぽいゲーム作りたいんだよ!っていう初学者はUnityからはじめましょう。
特にパターンBはめちゃくちゃ地味なので、楽しさを覚えながらゲームを作りたいならパターンA,Cが鉄板ですね。

5.どうしたらゲーム制作が捗るのか

仲間を集めましょう。以上。
いや、本当にそうなんです。
一人でゲーム作るのは正気じゃないので自分のできることをやり、自分でできないことを仲間に任せましょう。
こんなゲームが作りたい!(嘘スクリーンショットつき)と叫び続けていれば誰か来ると思います。
「ゲームを作りたい」のか、「○○という作品を実現したい」のかをよく考えてから正しい沼にはまりましょう。

6.終わりに

ここまで読んでくれてありがとう、お疲れ様。こんな長い日本語書いたの久しぶりだから僕も疲れたよ。
ドット絵ADVENTカレンダーの記事なのに一枚もドット絵を描いていませんが(というか画像すらない)、多分これはドット絵ADVENTカレンダーの記事です。
あんまりドット絵の話してないですがドット絵ADVENTカレンダーの記事です。
ドット絵成分が足りなければギャラリーでも見ていってください。Twitterによる劣化のない完全なピクセルアートが展示してあります(多分)。
今回はひたすらLOVE2Dを推すつもりだったんですが、あらためて文章を読み返すとDXライブラリのほうがオススメっぽく読めちゃうので若干困りました。実際思い入れもあるしおすすめなんですが、ビルドが必要という点でLOVE2Dのほうがよりオススメです。
一番大事なのは自分が何をしたいのかよく考えてみることかなと思います。
ゲームのドット絵を描きたいなら、多分あなたのドット力を求めている人がどこかにいるはずです。
自分の作品を作りたいなら諦めて沼に沈め。ただゲームを作るってのをやってみたいなら、まあそういうのもアリよね。
ここにきてうまいオチが考え付かないのですが、そろそろ終わりにしたいと思います。
なんか悩んでたら話くらいは聞くので気軽に話かけてね。一人で悩むとドツボにはまるぞ。

それでは、みなさまも良きゲーム制作ライフを。